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メッセージ from 川端 vol.20 平成20年12月25日

「天は人の上に人を造らず・・・」

平成20年が間もなく終わろうとしています。京都清水寺で発表された今年の漢字は「変」となりました。政治、経済、気候、あらゆるところで、良しにつけ、悪しきにつけ「変」があった一年でした。この変は、変化なのか変動なのか、はたまた激変なのか、「変」の程度も様々ですが、9月15日の出来事はやはり激変でありました。

9月15日、米国の投資銀行リーマンブラザーズ破綻は、世界経済を劇的に変化させるシグナルであり、この日を境に世界は大きく動きました。今回の出来事は、単なる景気循環的なものではありません。端的に言うと、アメリカ帝国の終焉の始まりであり、世界の政治経済システムの大幅な組み換えではないかと捉えています。現状は「恐慌一歩手前」が正確な表現ではないでしょうか。

混沌の時代がやってきました。

さて、これまでのわが国において、もっとも混迷を深めた時代の一つは言うまでもなく明治維新の頃です。度々この稿でも取り上げていますが、明治維新は日本が近代化に向かう夜明け前であり、大きな時代の転換期でした。当時の人々は混迷と革命の真っ只中に放り込まれたわけです。

この時代に“渇”を与えたのが、福沢諭吉の『学問のすすめ』でした。

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」の有名な冒頭ですが、ご存知の方も多いでしょう。この一文だけでは、人は皆平等であるという人権をテーマとしたものと思われがちですが、本質はこの言葉の先にあります。

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり。・・・されども、今広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥との相違あるに似たるは何ぞや。・・・されば、賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとに由って出来るものなり。」

人は皆平等というけれど、貴人や富人、賢人がいる一方、下人、愚人がいるのはなぜか、それはすべて実学に基づいた学問をするかしないかだということを言っています。わがまま勝手放題なことではダメで、才徳を備え物事の理を学ぶべきであると。

また、著書では愚民の上に悪い政府があり、良民の上には良い政府があると説いています。

まとめると、国民一人ひとりが自分の頭でよく考え学び、しっかり生きていくことが必要なのだということです。この考えは当時広く受け入れられました。福沢諭吉が主張しているのは、当然と言えば当然で、今の世間では言いにくいことばかりです。私が言うまでもなく、何から何まですべてを人のせいにする今の世相とは違いますね。

『学問のすすめ』は130年も前の著書で、混迷を極めた当時、日本をいい国にしたいという福沢の気概が伝わってきます。将来を自分自身で切り開く自立した精神をもって、太平の世を築けと言っています。再びやってきた混迷の時代、今こそこの気概をもつことが大事ではないでしょうか。

職員の皆さまには、今年一年大変ご苦労さまでした。年末年始はどうかゆっくり体を休めてください。ご家族と迎える新年が素晴しい年でありますことを心より祈念しまして、一年間のお礼の言葉とさせていただきます。

上天草市長 川端祐樹

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